高齢者と美容師の笑顔の架け橋
訪問美容『おうちでスマイル』②
では次に①で出てきたワード【スタートアップ(Startup)】についてお伺いしていきます。
VCから投資を受けているっていうのが非常に興味深い。
先日仲間内で話してたんですけど「訪問美容は美味しくない」が共通認識で、さらに言っちゃうと「美容師がVCからお金を引っ張るのは苦労するよね」と。どうして原崎さんはそこの両方ができているんでしょう?
ははは(笑)。確かに150社位応募あった中で投資を受けたのは5社位(⁈)で自分としては名誉なことだと思います。
ちょうど5年前位かなあ。友人が連続起業家の孫泰蔵さんも参画している「OPENSAUCE」農業をデータ化するっていうスタートアップに参加してるんです。実証実験として金沢で農地を開き作物を育てて検証するそれのメディア面を友人が運用していて。
彼は元々サムライインキュベート(VC)から出資を受けていたので俺もやりたいって。その当時は[ヘアカラーのティントを可視化するプロダクト]をやりたいと思っていたのでチャレンジしたんですよ。
また面白いところをやられましたね。
けれど完全に世の中逆光しているようなモノを作ってしまって。
それは投資受けずにやったんですけど、混ぜると逆に良くない簡単なカラー剤が多い中、赤:青=◯:◯で混ぜる→この位の紫→赤紫なのか青紫なのかちゃんとイメージできて混ぜてますかっていうところを検証する《あらゆるメーカーのティントを混ぜた時を可視化できるプロダクト》を作ったんです。
そしたら鳴かず飛ばす。
完全にミルボンさんにやられちゃってる感じですね。
そうなんです(笑)。
その後訪問美容案件で何回かサムライにプレゼンしに行ったんですけど門前払いくらって。
そうしたら<こうしたら投資家はお金出してくれるよ>って1から10まで教えてくれるプログラムが開催されて、それに応募&面接で通り、投資家に理解してもらうのにおさえるポイントやプレゼンのスライド例とかを習いました。
自分が投資する方なのにこうしたら投資家はお金出してくれますよって教えてくれるんです。それでわかりましたって書いて出したら投資してもらえたんです。
ノウハウみたいなのあるって言いますもんね。
向こうは投資したくてしょうがないんですよね。
今の時代スタートアップで投資は結構してもらえる可能性高いんです。
で、僕は投資に対しての仕組みや流れのポイントを良く知っているので、もし投資したいor投資受けたいって人がいたらそのポイントとか提供したりもできると思います。
ちなみに実際どんなプレゼンをしたんですか?
プレゼンは、課題に対しての解決方法だったりとか。
まず<課題の抽出>ですよね、どんな課題があるのか、あと<市場規模>ー要はその事業儲かるよって示すための市場規模ーだったり、<今現在の代替え品は何なのか>っていうのを必ず調べる。
僕から見た終わコンの訪問美容の今の時代の代替え品は何なのか。
それに対して僕のサービスを使うとここが早くなるとかここが良くなるとか。早い、安い、便利っていう優位性を全部説明する。ここは優位性ないです。ここはありますって◯×△じゃないけどそれを作って説明して想いを伝えるって感じですかね。
なるほど。これはかなり参考になる情報ですね。
原崎さんがVCからの出資を受けたのは1回ですか?幾ら位かお訊きしてもいいですか?
はい。1回会社設立用のお金として300万受けました。
ある程度形になると1000万が見えてくる?
1000万まではそのプログラムのゴールですね。
それが終わったら次の投資家探しをするためにサービスを大きくするって作業があってVCと一緒に探すって感じですね。
いいですね。協力するパートナーですもんね。
VCの言葉を借りると「出来る・出来ない」じゃなくて「やるか・やらないか」。
出来るか出来ないか考えてる暇があるんだったらやってしまった方が絶対いいと思う。やった後で縁は100%生まれるし、そこを<踏み込んだ勇気ある人しか入れないムラ(群/域)が存在する>と思っています。そこはお互い助けあっって高めあえることが出来る仲間です。
確かに踏み込んだ先には何かしら得るものはありますよね。
では原崎さんの今後の事業展開を教えてください。
自分達の活動が<一般美容師さんにも目が届くようなある程度の数字を作る>のが今の目標です。契約件数だったり、実際にやっている活動をどんどん表に出して行かなければなと。
美容師さんと高齢者を繋げる事業やってる人って本当にいないと思うんです。
今ある訪問美容はあくまで別々個々を同じ名前の暖簾でまとめているだけの全然舗装されてない道路みたいな状況なんですね。これからは《価格を落とさずに価値を高める》って作業が必要となってくる。
価格を下げると福祉になってしまって僕は福祉をやる気はないんです。
あくまで自分達が事業をやった結果→福祉であり奉仕でありになればいいなと思っていて、それはどの分野の人達も同じ考えだと思うし、老人に対しても全く同じじゃないかなと。
人の善意とかそういうものだけに頼っていると長続きしないんですよね。
しないと思います。
それって逆に失礼なので。その思いがあるのが大前提としてドライに接していかないとやっぱり意味ないんですよね。
ちょっと話し戻しちゃいますが、訪問美容への興味でどんなものか経験してみたことがあるんですけど、難しいのは美容師からすると[カットの対象となるお客様≠リアルなお客様]で、実際の支払い対象が介護している家族だったり周りの職員だったりになる。
そうするとカット対象の本人(髪の毛がついている本人)の希望や意識以上に介護のしやすさ優先の髪型が求められたり、あとは介護してあげているみたいな部分があるのでそこにお金をかける意識≦低価格で扱いやすくが求められているような気がして。
そうするとどうしても価格帯は下がってしまうし、相互の満足感の共有としてもやりがいが少なくなってしまうんじゃないかなと。そこがちょっと問題だなって思っているのが1つ。
介護福祉の中で保険対象じゃない。保険料を取れないのであくまでも自腹→だからこそ低価格になりやすい。
美容師側から見れば低価格なんですけど支払うユーザーからすると結構払ってるよっていうギャップがすごくあるなって思ってたんです。
その辺はどう考えてますか?
だから美容師の中で1人政治家をつくること‼️。擁立させること。
これ絶対必要だと思ってるんです。
政治家になりたい美容師をつくることしかないと思います。
でも実際美容系で政治家になりたいのがナイんですよね。
看護師さんとかって国会議員送り出して地位かなり上げてきたじゃないですか。そういうのがないんですよね。もちろん介護士の業界も然りだし。
だから例えば「H○Bをぶっ壊〜すっ!」って言ってN党の過激思想でやる人がいれば今だったら全然チャンスで入れると思うんです。
確かに「H○Bぶっ壊す」は美容師票が集まりそうですね。
ぶっ壊す気はないけど<あくまで俺らの手で直していこうよってことだよ>って便宜上ぶっ壊すって言葉使用すみませんでいいと思うんですよ。
僕2年限定とかでいいなら頑張りますよみたいな。でも神輿乗っかるのにふさわしいタイプの人いると思うんですよね。
組合に任せたら多分20年位かかるので。もう訪問美容の組合・協会作っちゃうかやっぱりそういう政治活動がみんなで必要なんじゃないかなって。
あと依頼としてはエリアもあるかもしれないんですけど、裕福な方が多いですね。
いいですね。やっぱりそういうところを取り込んでいった方がいいですよね。
そうなんです。先日も老人ホームを紹介してる人と話で「そんな人いないわよ」って言ってたけどいるんですよ実際。
ファミリーマート直下のフランチャイズの高齢者専門宅配弁当「宅配クック123」では1つの区でも700人位お客さんがいてその中でたまにフカヒレ弁当とか高級弁当を出すと結構食べる人いるらしいんです。
だからそういう人達の販路からの集客をさせてもらえる可能性高いんですよね。
みんな困ってるのを目の前にしてるから「なんとかしてあげたい」って思ってる。整体やパーソナルトレーナーの人達とかはそういう人達と絡んでるみたいで、『一緒に協業していきお互いのお客様が笑顔で過ごせる』部分で力になることは多分可能なんだろうなと。
最初はドブ板の世界で縁から始まる仕事からやっていって→徐々に数字がたまっていき→評判がついてって感じになるんじゃないかなって思うんですけど。
なるほど。同じ想いをもつ他業界との協業ですね。
美容師は自分の身の回り、同世代、自分の環境で起きてること以外にも目を向けないと今後楽しく働けないんじゃないかなと思っています。
そもそも美容師って他人に寄り添う仕事だと思う。もっと言うとトレンドに対して敏感なはずなのにオシャレじゃないトレンドでおざなりになっているのはいかがなものかとも思うし、それを面白くオシャレに可笑しく格好よくするのが僕らの仕事。その力を持っていると思うので、世の為人の為になるような仕事をしていかないと美容師の仕事はどんどん面白くならないんじゃないかなと。
お金ももちろん大事なんですけど今の時代の流れを考えるとあと40年やっていくって考えるとちょっと想像がつかないじゃないですか。流行りばかりに乗っかっていてもしょうがない。
《新しいものを作る》ってことに対しても目を向けて欲しいなと思いますね。
それぞれ利害が別でもいいから新しいものを作る。そういう仲間が欲しいです。
僕も今は価値がないけれどもこれから価値が生まれるようなもののイメージとしてはいっぱいあるけれど自分だけでは1つのことしか出来ないのでもっとどんどん色んな人にやってもらいたいと思うし、僕本当にやりたいことが2つあるんですよ。
どんなことですか?
1つは将来「子ども食堂」を作りたい。
「子ども食堂」は親が夜仕事していて十分な栄養のある食事を摂れない子供達などへ健康的な食べ物を無料で提供する場所でもあり居場所でもあるんですけど、NPO法人とかでやっていると誰かが抜けちゃうとなかなか出来なかったりすることもあるし続かないイメージがすごくあるんですね。
それを事業化するべきだなと思っていて、それこそコミュニティとして考えれば「大人食堂」も作れるわけだし、夜はBarだったりとか昼はカフェだったり。おままごとみたいな話なんですけど、お金を稼ぐというよりは経営のノウハウを駆使してみんなが楽しく過ごせるコミュニティの場を作ることはできるかなと。
<色んな人のきっかけを作るような場所>を作りたい。
もう1つは全然話し外れちゃうんですけど、僕曲を書いて歌を唄ってるんです。レコーディングしてCD作ってライブもやってたりするんです。
で、周りみていると聡明なミュージシャンいっぱいいるんですけどお金稼ぐ能力が本当ないんですよ。
すごく良い曲もいっぱいあるし、ただ不器用なだけで売れてない人達がちょっとでも「価値を見出せるようなプラットフォーム」を将来作ってみたいなっていうのがあります。
そんなことばっかり考えているんですよね。やっぱお金儲けよりは人に感謝されて死にたいなって。
なるほど。原崎さんが面白そうな人だっていうのがよくわかりました(笑)。
ありがとうございました。
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